3月

去年までは島住民全体を対象にヨード摂取を推奨する活動をして来ました。今年は、毎年医療奉仕にカンボジアを訪れて下さっている日本の医療チームが、甲状腺異常の患者さんに対し継続的なフォローアップ活動を開始されました。

 

島の甲状腺異常の患者さん家族を特定し、昆布だしを支給しながら数ヶ月おきに症状の改善を記録していきます。BBEは対象家族と連絡を取り医療チームの訪問を手伝います。

 

まず対象家庭(できるだけ家族員全員)に公民館に集まってもらい、現地医師からヨードと今年1年のプロジェクトの説明をしてもらいます。

 

昆布だしを使ったスープを調理し、試食してもらいました。昆布だしは1年を通じ一心病院の寄贈です。去年まではアマノリを支給していましたが、ヨード含有量はやはり昆布がずば抜けています。

 

 

その後各家庭を訪問し、生活習慣の聞き取りをします。向こう2ヶ月、だしを摂った日をカレンダーに書き留めてもらい、患者さんの疾患の経過をみながら比較します。それにより、更なる改善への進め方が明らかになっていく予定です。

 

 

5月

また医療チームより医師を迎え、島に案内しました。今月から一斉の健康指導はなく、直接各対象家庭を訪問し、対象の患者さんだけでなくできる限りその家族全員の体温・血圧の確認と採尿を行いました。プノンペンから若い現地医師と、また島の看護助手の方も一緒に同行して下さいました。

 

3月にも採尿をしましたが、今月の採尿との比較の結果、数ヶ月昆布だしを摂った事で、全体的にヨード値の上昇が見られました。ヨード値が減少している人もいたので、その原因を探るには生活の状態をもう少し詳しく知る必要があるでしょう。

 

 

9月

日本から看護師の方2名が来られ、現地医師2名と共に今年4度目となる島の検診に赴きました。州滞在中に2日かけて島を訪れ、今回やっと甲状腺疾患の対象者より24時間尿の採取ができました。これまでスポット尿のみで昆布だしとヨード改善の推移を見てきましたが、これにより より正確な値を算出する事ができると期待します。

 

1日目は対象者の家庭を訪れ、対象者の健康診断をし、向こう3ヶ月の昆布だしを配布しました。

対象者には24時間採尿の説明も行います。

また家族全員からも採尿の協力を得ました。

 

 

2日目はまず24時間尿を回収。

 

 

その後、著しい高血圧の患者さん宅を訪れ改善の生活指導を行いました。

またどのような食事をされているかも一緒に確認しました。

 

 

10

日本からのボランティア学生さんを迎え、島の子供達に水彩画と折り紙という、普段触れる事のない遊びを紹介しに行きました。

カンボジアは10月末まで長期休暇ですが、中学1~3年生を対象に関心のある生徒達が集まってくれました。

クレヨンや絵の具などを使う機会の無い子供達です。唐突に画用紙に絵を描くより、まず絵の具に慣れながらぬり絵をしてもらう事にしました。

 

ただ、先生1人に対して集まってくれた子供達がとても多く、用意した絵筆やパレットが全員分足りませんでした。そこでグループごとに分かれ、中学1年生はクレヨンで、2、3年生は絵の具で進めてもらいます。

ぬり絵が終わると、ぬり絵になっている絵の英単語も教えました。どれくらい覚えたか小テストしましたが、大部分の子供達が自信をもって回答していました。

 

また折り紙を通して日本の文化の一面を紹介します。

学年ごと難易度の違う折り紙に挑戦します。

色を使って表現する楽しさ、またただ折るだけでも色々なものが作り出せるという創造の楽しさに触れてもらえたら幸いです。このような経験が、子供達の視野や生活そのものを広げていくと考えています。

 

 

12月

BBEは日本からの医療チームに協力し、現地の若い医師と医学生を対象に医療実習の場を持ちました。

医療チームはまずその1年を通して行ってきたヨード不足改善プロジェクトの紹介をしました。ヨード不足はカンボジアで顕著な問題です。将来の医師にその取り組みと改善策を共有するのは有益であると考えます。またヨード不足に伴う疾患について、聴診器のみでなく触診で甲状腺の腫脹を確認する練習もしました。

 

翌日からの2日間は、医療チームとともに無医村で医療奉仕活動に参加しました。

 

 

患者さんの診察、患者さんの家族構成や生活の調査、薬局、衛生指導など、各分野で責任を持って協力してくれました。

大学の中で学んだ事を実践し、また習わなかった事も体験し、良い経験になったと思います。彼らの将来に大いに期待しています。